水なし印刷とは

水なし印刷の原理と環境適応性

大量の水の代わりにシリコンを使い、有害物質を排出しない印刷。

従来の印刷は水とインキの反発を利用してインキが付かない部分を作り出しており、この水を湿し水と呼びます。湿し水にはH液※1やIPA(イソプロピルアルコール)などの有機化合物が含まれており、廃液は水質汚濁防止法で定められたBOD※2(生物化学的酸素要求量)やCOD※3(化学的酸素要求量)などの基準値を超えるため産業廃棄物として処理しています。しかし、水なし印刷はシリコンゴム層が湿し水の代わりとなり、有害物質を含む水が発生しません。

  水あり印刷(従来の印刷) 水なし印刷
現像工程
印刷工程
版の構造
WPA「水なし印刷」のご提案より抜粋


※1 H液 /湿し水に添加することで大幅に印刷力を引き上げる薬品
※2 BOD /水中の有機物が微生物によって一定時間内に酸化分解される時に必要な酸素量
※3 COD /水中の有機物が酸化剤で化学的に酸化分解される時に必要な酸素量

刷版・印刷工程の廃液比較
  水あり印刷
(従来の印刷)
水なし印刷
PH値
BOD
(mg/l)
COD
(mg/l)
東レ(株)WPA紹介資料より抜粋
水質汚濁防止法、新廃掃法、下水道法など
印刷物製造に関する法規制にも抵触しません。

WPAの蝶のマーク(弊社識別番号(H02))

WPA(Waterless Printing Association)は水なし印刷の採用を啓蒙する非営利団体です。水なし印刷を通じ、環境保全・事業発展・情報交換をはかることを目的として1993年9月、アメリカ・シカゴで発足しました。1997年には環境保全大国ドイツでEWPAが、日本においてもイギリス・バーミンガムで行われた“IPEX2002”において“日本WPA”が結成されました。認証マークについては「水なし印刷で高品質の印刷物を製造する印刷会社にしか使用を認めない」という厳しい基準が設けられています。

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